■持ち高とは?

持ち高 (=ポジション) 保有している売り買いの持ち高。 パーティクルガン法による手順 パーティクルガン法による一般的な形質転換植物を得る操作手順の例を簡単に示す。 植物に導入したい遺伝子と選択マーカー遺伝子が存在するDNAとよく懸濁した金の微粒子とを混和してエタノール沈殿を行う。 遠心分離により回収されたDNAでコートされた金の微粒子を風乾し、パーティクルガンにセットする。 外為もしくは滅菌した植物の葉の断片や茎の断片などの組織片をシャーレの中の固体培地上に置床してパーティクルガンにセットしてから、金の微粒子を打ち込む。 植物組織をカルスを誘導する植物ホルモンも含む選択培地に植え継ぎ、選択培地上で増殖するカルスを選択する。 増殖したカルスをシュート分化用の植物ホルモンも含む選択培地に植え継ぎ、シュートを分化させる。 カルスからシュートを切除して、シュートを発根用の選択培地に植え継ぎ、発根した後に鉢上げして馴化する。 カルスが形成された後の各段階で遺伝子の導入を確認する。 アグロバクテリウム法による手順 バイナリー・ベクターを用いたアグロバクテリウム法による一般的な形質転換植物を得る操作手順の例を簡単に示す。 小型プラスミドのシャトル・ベクター上のT-DNA部分に目的遺伝子を挿入する。T-DNA部分には選択マーカー遺伝子も含まれている。 組換わったプラスミドを大腸菌に導入して、大腸菌中で増やしてから回収し、挿入遺伝子を確認する。 回収したプラスミドを電気穿孔(エレクトロポーレイション: electroporation)法や三親接合伝達法などを利用してvir helper Ti plasmidを含むA. tumefaciensへ導入する。その際、シャトル・ベクター上のバクテリアでの選択マーカー遺伝子を利用してシャトルベクターが導入されたA. tumefaciensを選択する。 選択したA. tumefaciensを液体培地で増殖させて集菌し、共存培養培地に懸濁する。 無菌的植物もしくは滅菌した植物の葉の断片や茎の断片などの組織片をシャーレの中に移し、A. tumefaciensと共存培養する。この際に、アセトシリンゴンなどを添加すると感染効率が上昇する。 日経225が終わった植物組織片をカルスを誘導する植物ホルモンも含む選択培地に植え継ぎ、選択培地上で増殖するカルスを選択する。この培地には、A. tumefaciensを除菌するためのカルベニシリンなどの抗生物質が含まれている。 増殖したカルスをシュート分化用の植物ホルモンと除菌用抗生物質も含む選択培地に植え継ぎ、シュートを分化させる。 シュートを切除して、除菌用抗生物質も含む発根用の選択培地に植え継ぎ、発根した後に鉢上げして馴化する。 カルスが形成された後の各段階で遺伝子の導入を確認する。 新しい選択マーカー遺伝子 FXの遺伝子組換え手法において、多数の細胞を材料としてその中から極少数の形質転換細胞を選択する操作が用いられることが多い。そのため、形質転換細胞を選択するための選択マーカー遺伝子の発現を指標として形質転換体を選択している。この植物の選択マーカー遺伝子は組換え作物においてもカナマイシン(kanamycin)などのアミノグリコシド(aminoglycoside)系抗生物質に耐性を与える遺伝子が用いられることが多かった。そこに、社会政策的な問題が形質転換植物の選択系にも影響をおよぼした。EUは2004年末をもって医療用、家畜用に用いられる抗生物質に対する耐性遺伝子で形質転換植物細胞の選択を禁止した。そして、今後、EUで販売される遺伝子組換え植物や食品は他の選択マーカー遺伝子が用いられているか、選択マーカー遺伝子が除去されていなくてはならないとした(European Parliament 2001)。形質転換植物の選択マーカー遺伝子は基本的には形質転換体の選択という育種の極初期に用いられるに過ぎない。 しかし、遺伝子組換え食品反対派は、組換え作物が持つカナマイシン耐性遺伝子(NPTII: aminoglycoside (neomycin) phosphotransferase遺伝子) やハイグロマイシンB耐性遺伝子(hpt: hygromycin phosphotransferase遺伝子)などの抗生物質耐性遺伝子が腸内細菌に極低い頻度であっても取り込まれる可能性があるとし、これを批判の根拠の一つとしていた。そこで、除草剤として用いられているビアラホス(bialaphos: phosphinothricinとして作用)の様な農業用抗生物質を除いて医療用・畜産用抗生物質の耐性遺伝子の選択マーカーとしての利用を規制したわけである。 その結果、新たな先物取引 を用いた選択系が用いられるようになった。その中には、植物の利用できない炭素源を資化または解毒できるようにするものがある。 D-amino acid oxidase (DAAO):DAAOは赤色酵母Rhodotorula gracilis由来のDAO1にコードされているものを利用。多くのD-アミノ酸(D-amino acids)をα-ケト酸(α-keto acids: 2-オキソ酸(2-oxo acids))に変換できる。D-アラニン(D-Ala), D-セリン(D-Ser)は毒性を持ち、DAAOによって解毒されるため、形質転換体をpositive selectionできる。(D-Alaからピルビン酸(pyruvate), D-Serから3-ヒドロキシピルビン酸(3-hydroxy pyruvate)へ解毒、α位の炭素の光学活性が無くなる。)。D-イソロイシン(D-Ile), D-バリン(D-Val)の毒性は低いが、それらのα-ケト酸は毒性を持つ。そのため、部位特異的な組換えによりDAO1が形質転換体から除去された組換え体をnegative selection可能である。 phosphomannose isomerase (PMI): フルクトース-6-リン酸(fructose-6-phosphate)は解糖系の中間体であり、マンノース-6-リン酸(mannose-6-phosphate)をフルクトース-6-リン酸へ変換できれば唯一の炭素源として資化できることになる。多くの植物はPMIを所持せず、マンノース-6-リン酸をフルクトース-6-リン酸へ変換できない。そのため、選択培地中にマンノース(mannose)を唯一の炭素源とした場合、資化できないが、大腸菌Escherichia coli由来のPMI遺伝子pmiを導入された形質転換体はマンノースを解糖系へ導入できるため、生育可能となる。なお、培地から取り込まれたマンノースは植物のヘキソース・キナーゼ(hexose kinase)(ヘキソキナーゼ: hexokinaseとも記述される)によってマンノース-6-リン酸へ変換される。 D-arabitol-4-dehydrogenase: 植物にD-arabitol資化能を導入する。 その他、選択マーカー遺伝子を除去する系を利用するものもある。 co-transformation: 投資信託などの選択マーカー遺伝子と目的遺伝子を別々のDNA断片として導入して、選択マーカー遺伝子で選択した形質転換体の中から目的遺伝子と選択マーカー遺伝子が植物細胞のゲノムの別々の部位に組み込まれたものを選択して、後代をとり目的遺伝子を持つが選択遺伝子を持たないものを選択するというもの。外来遺伝子を取り込む能力を持つコンピテントセル(competent cell)が限られていることを利用する手法である。 MAT vector法: 日本製紙株式会社の開発したMulti-Auto-Transformationの略である。いろいろなタイプがあるが、サイトカイニン(cytokinin)合成遺伝子(iptZ)と醤油酵母Zygosaccharomyces rouxiiの内在性プラスミドpSR1の部位特異的組換え酵素とその標的配列を順方向反復配列(direct repeats)として利用しているものの説明をする。植物ホルモンの一種であるサイトカイニンは頂芽優勢を打破するために、サイトカイニンが多いと側芽が次々伸びて多芽体を植物は形成する。iptZと部位特異的組換え酵素遺伝子を標的配列の順方向反復配列で囲み、その外側に目的遺伝子を配置したDNAを植物細胞に導入すると、サイトカイニンが過剰生産され、多芽体が形成される。その中から、部位特異的組換え酵素遺伝子が標的配列の順方向反復配列に作用してiptZと部位特異的組換え酵素遺伝子が除去され、目的遺伝子が残ったものが正常な頂芽優勢を示す表現型のものとして得られる。それを目的遺伝子のみを所持するものか検定して、確認する。 新技術(ジーンターゲッティング)の導入 その他、現在、ジーンターゲッティング法を用いて遺伝子置換を植物に応用する試みが進んでいる。植物は相同組換え活性が低く、内在性の遺伝子と相同性が高いDNA断片を導入しても内在性の遺伝子と殆ど相同組換えを起こさず、非相同組換えによって標的以外に組み込まれるものが大部分である。そこで様々な工夫が必要となる。 ALS遺伝子の特異的置換 ひとつの例が、pyrimidinyl carboxy系除草剤であるbispyribacへの耐性を示すイネの開発である。この除草剤は、分岐鎖アミノ酸(blanched chain amino acids, BCAA)生合成系の酵素の一種であるacetolactate synthase (ALS)の阻害剤である。イネのある変異体は、ALSの2カ所のアミノ酸残基の変異によってbispyribacに対して高度に耐性を示す。そこで、非相同組換えによる耐性形質転換体を除去するためにpromoterとN(アミノ)末端側の配列を欠失したイネ由来の変異型ALSをイネに導入して耐性になった相同組換えによる遺伝子置換体を単離した。そのhomo接合体は著しくbispyribacに対して耐性となっていた(The Plant Journal (2007) 52, 157?166)。 この過程で変異型ALSのpromoterとN末端側の配列を欠失したものを用いているのは重要である。promoterとN末端側の配列を含む完全な変異型ALSを用いればゲノムの本来のALS以外のところに非相同組換えによって挿入されてもbispyribac耐性になってしまう。また、promoterのみを除去し開始コドンから完全な変異型ALSのタンパク質コード領域(翻訳領域、ORF)を含んでいるものを用いれば、ほとんどの非相同組換えによるbispyribac耐性株を除去できるはずであるが、T-DNA taggingに用いられているようにAgrobacterium(アグロバクテリウム)法ではT-DNAはかなりの高頻度で転写活性の高い領域に挿入されるため、何らかの遺伝子のpromoter下流に挿入され、その転写方向と挿入断片のセンス鎖方向が一致すればbispyribac耐性株が生じる可能性がある。そこで、promoterとN末端側の配列を欠失したものを用いれば非相同組換えによるbispyribac耐性形質転換体によるバックグラウンドをほぼ排除できるわけである。 この遺伝子置換体は基本的に標的となったALSの配列のみが野生型と一部異なるだけであり、他の選択マーカー遺伝子が存在しないため、突然変異により育種されたものと区別がつかない。このことは遺伝子組換え食品の実質的同等性を確保する上で大きな意味を持つ。 任意の遺伝子の特異的置換 また、変異型ALSのようなそれ自体が選択マーカーとなる遺伝子だけでなく、任意の遺伝子を遺伝子置換により遺伝子破壊する方法が開発された。この方法は、diphtheria toxinが真核生物の細胞質の蛋白質合成を阻害するため、diphtheria toxinを生産する真核細胞が死滅することを利用している。Agrobacterium法による形質転換においてT-DNAのright borderとleft borderの内側近傍にdiphtheria toxin-A(ジフテリア毒A)遺伝子を1個ずつ逆方向反復配列(inverted repeats)として配置し、更にその内側に遺伝子破壊したい配列と相同な配列と選択マーカー遺伝子を挿入することによって、相同組換えを起こしたもののみ生存できるようにしたものである。相同組換えによって2個のdiphtheria toxin-A遺伝子が除去され選択マーカー遺伝子が導入された細胞は生存可能であるが、非相同組換えによって標的遺伝子以外のところにright borderとleft borderとともにdiphtheria toxin-A遺伝子が導入された細胞は死滅すると考えられる。 ただし、この方法によってもイネにおいて選択された形質転換体のうち目的とする遺伝子破壊体の頻度は1.9%であった(Plant Physiology, June 2007, Vol. 144, pp. 846?856)。今後の更なる効率上昇に関する研究は必要であろう。