戻り
相場が下落トレンドにある時に、価格が一時的、調整的に上がる局面。ラリー(rally)ともいう。
果実等の収穫適期には時間的に範囲が狭いものがある。特に、トマトなどでは色付き始めたらすぐに収穫して流通に乗せる必要性が高い。そうしないと店頭に並ぶ頃には過熟状態になったり、ケチャップやピューレなどへの工業的加工過程に入る前に傷口から腐敗したりして商品価値が低下することが多くなる。そこで、熟しても果皮が柔らかくならない様に細胞間を充填しているペクチン(pectin)を分解する酵素ポリガラクチュロナーゼ(polygalacturonase)の生産をアンチセンスRNA法などのRNAiの技法で抑制したFlavr Savrなどのトマトが開発された。
くりっく365では、果実が熟する過程でポリガラクチュロナーゼの発現が誘導されるため、果実の熟する過程を制御する方向の研究が進んでいる。果実の熟する過程には、植物ホルモンの一種であるエチレンが関与している。そこで、エチレンの生合成を抑制する研究が進んだ。エチレンの生合成系は、S-アデノシル-L-メチオニン(S-adenosyl-L-methionine : SAM)から、ACC合成酵素(ACC synthase)の作用により1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(1-amino cyclopropane-1-carbonic acid :ACC)が合成され、ACCからACC酸化酵素(ACC oxidase)によってエチレンに変換されるというものである。(SAM -> ACC -> エチレン)そこで、この過程の酵素、ACC合成酵素やACC酸化酵素をアンチセンスRNA法やコサプレッション法などのRNAiの技法で抑制すれば、エチレンの生合成が抑制されるわけである。その他に、土壌細菌Pseudomonas chlororaphis由来のACCデアミナーゼ(ACC deaminase)遺伝子の導入によって、ACCを2-オキソ酪酸(2-oxobutylate)とアンモニアに分解することによってエチレン合成が抑制されたトマトも開発されている。ACCデアミナーゼ遺伝子が導入されたトマトは室温で収穫後121日放置しても瑞々しい状態であった(Harry J. Klee, Maria B. Hayford, Keith A. Kretzmer, Gerard F. Barry, and Ganesh M. Kishore, Control of Ethylene Synthesis by Expression of a Bacterial Enzyme in Transgenic Tomato Plants, The Plant Cell, Vol. 3, 1187-1 193, November 1991)。
日経225が抑制されたトマト果実は出荷前に倉庫でエチレン処理をすると正常な熟する過程を開始し、色付き、果皮も柔らかくなる。エチレンによる果実の追熟は多くの果実で取り入れられており、この原理は、バナナやマンゴーなどの熱帯輸入果実は、害虫移入防止のため未熟果実を輸入しエチレンによって追熟しているのと同じである。そのため、その設備を利用できる。また、家庭においてもキウイフルーツを追熟させたい場合、エチレンをよく発生するリンゴと同じビニール袋に入れて保存するのも同じ原理である。
第二世代組換え食品
第二世代に関しては、ワクチン等の有用タンパク質の工場として利用することができたり、栄養素を多く含ませたり、食品中の有害物質を低減させたり、消費者にとって利益が目に見えるものである。例えば、B型肝炎予防の食べるワクチンとしてB型肝炎ウイルスの表面抗原をバナナで発現させ経口免疫によってB型肝炎感染を防除する試みがある(Planta, vol. 222, No. 3, p. 484-493, October 2005)。また、日本においてはインシュリンを分泌誘導して糖尿病になりにくくするコメやスギ花粉症を低減するコメの開発が先行している。
オレイン酸高含有遺伝子組換えダイズ
現在、いわゆる第二世代の組換え作物として商業栽培されているものの一つにオレイン酸高含有ダイズがある。一般的なダイズ油中の不飽和脂肪酸残基の組成はリノール酸(18:2)(約50%)、オレイン酸(18:1)(約20%)、リノレン酸(18:3)(約10%)である。一方、オレイン酸高含有遺伝子組換えダイズ油(高オレイン酸ダイズ油)には約85%のオレイン酸が含まれ、リノール酸やリノレン酸などの多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acids : PUFAs)
外国為替
が少ない。これはオレイン酸からリノール酸への不飽和化に関与している酵素ω6-desaturase (FAD2)の遺伝子(FAD2)の発現を抑制することによってオレイン酸の含量を高めている。
FX
のような1価不飽和脂肪酸(monounsaturated fatty acid)を多量に含む油脂は血中の高密度リポ蛋白質(high density lipoprotein : HDL)の比率を増やして、動脈硬化を防止すると考えられている。更に、オレイン酸はPUFAsに比べ酸化に安定である。そのため、高オレイン酸ダイズ油は揚げ油などに適している。
ゴールデンライス
その他、第二世代の組換え作物として最も有望視されているものがゴールデンライス(golden rice)である。
CFD(vitamin A)欠乏は多くの発展途上国において乳幼児の深刻な問題になっている。その解決策としてビタミンAの前駆体であるβ-カロテン(β-carotene)を内胚乳に含有するゴールデンライスが開発された。β-カロテンを含有するため精米された米が黄色を呈するのでゴールデンライスと命名された。ゴールデンライス自体を主食としてもビタミンAの必要量を満たさないと非難する考えが遺伝子組換え食品反対派にあった。しかし、2005年には、新たにゴールデンライス2が発表され、これだけを摂食することでビタミンAの必要量がまかなえるようになった。これはカロテノイド生合成系遺伝子としてゴールデンライスで用いられていたスイセン由来のフィトエン合成酵素(phytoene synthase)のcDNAの代わりにトウモロコシやイネ由来のcDNAを利用することにより達成された(Nature Biotechnology 2005 Apr;23(4):482-7)。
作製法
遺伝子組換え植物を作製する上で、植物のホスト(宿主)・ベクター系(host-vector system)が必要とされる。そのホスト・ベクター系を構築する上で以下の4種類の系が必要とされる。
植物細胞への遺伝子の導入系(導入系)
遺伝子の組換わった細胞(形質転換細胞)だけを選択するための系(選択系)
導入した遺伝子を複製させ、細胞分裂後にも伝達させるための系(複製系)
単一の細胞から植物個体まで再生させるための系(分化・再生系)
これらについて以下の節で簡単に説明する。
[編集] 導入系
導入系とは、目的とする遺伝子を細胞の遺伝子が発現する場所に導入するための系である。遺伝子を導入・発現させるための植物細胞内の小器官として、現在、核とプラスチド(plastid)が標的となっている。導入系にはいろいろな手法があるが、現在の主要な方法は、パーティクルガン法とアグロバクテリウム法であり、それぞれについて簡単に説明する。
この項目に関するコメントを広く求めています。
「この項目のノート」にてコメントをお願いします。
パーティクルガン法
particle gun、biolistic (particle bombardment) transformation、microprojectile methodともいわれ、金属の微粒子にDNAをコーティングしたものを弾丸として、高速で射出して細胞内にDNAを導入する方法である。貫通力を高めるために弾丸には高比重で、かつ、化学的に不活性であるため生体に害の少ないという理由で金微粒子が好まれる。試料を選ばず、様々な生物種や組織を用いることができ簡便な方法であるが、機材が高価でランニングコストもかかるという問題がある。また、遺伝子が分断されて導入されやすく、また、マルチコピーで導入されやすいため、遺伝子量効果(gene dosage effect)が現れることやRNAiなどによって遺伝子発現が抑制されることがある。そのため、得られた形質転換植物への導入遺伝子の解析やその発現量の解析を十分に行う必要がある。核ゲノム以外にもプラスチドへの遺伝子導入にも用いられている。
アグロバクテリウム法
Agrobacterium tumefaciens :(正式名称 Rhizobium radiobacter )が主に用いられている。自然界ではA. tumefaciensは、双子葉植物を宿主としてクラウンゴール(crown gallまたはcrowngall)という腫瘍を形成させ、それをA. tumefaciensは資化できるが植物は資化できないオピン(opine)という特殊なイミノ酸を生産する工場としている。これを生物学的植民地化という。これはA. tumefaciensに含まれるTi (tumor inducing) plasmidのT-DNA (transferred DNA)が植物細胞の核ゲノムに導入されたことによって生じる。そこで、このDNA導入機構を利用して植物への遺伝子導入方法が開発された。そのうち、現在はバイナリー・ベクター(binary vector)法が主流である。これは、Ti plasmidの本来のT-DNAを除去されたvir helper Ti plasmidと、大腸菌とA. tumefaciensの双方で利用できる小型のシャトル・ベクター(shuttle vector)に人工のT-DNAを付与したものとで構築されている。vir helper Ti plasmidには、本来のT-DNAが存在しないため、植物にクラウンゴール(腫瘍)を形成できないが、T-DNAを植物ゲノムに導入するために必要なvir領域が存在しているため、他のプラスミド上に存在する人工T-DNAを植物に導入できる。このように同一のDNA上に存在しなくても、作用しあえる遺伝子間の関係をトランスという。以下に、バイナリー・ベクター法を簡単に説明する。
A. tumefaciensに存在するTi plasmidは巨大プラスミドであり、これをA. tumefaciensから直接単離し試験管内で操作することは困難である。一方、Ti plasmid上にはvir領域という、T-DNAを植物ゲノムに導入するために必要な遺伝子群が存在するので、Ti plasmidは植物への遺伝子導入には必要である。しかし、本来のT-DNAは植物を腫瘍化するので不要である。そこで、本来のT-DNAが欠損したvir helper Ti plasmidとそれを保持するA. tumefaciensの菌株が開発された。A. tumefaciensの染色体上にも、植物への遺伝子導入に必要とされる遺伝子が存在するために、更にTi plasmidの宿主としてもA. tumefaciensはアグロバクテリウム法において必要とされる。
T-DNAの両末端にはRB(right border)とLB(left border)という短い配列が存在している。RBとLBに挟まれた配列が植物に導入され、その間の配列には特異性がないため、植物に導入したい遺伝子や形質転換植物を選択するための選択マーカー遺伝子をRBとLBに挟みこんで人工のT-DNAを構築できる。
更に、vir領域とT-DNAとの作用関係はトランスであり、両者が同一のプラスミド上に存在している必要が無い。そこで、小型のシャトル・ベクターに人工のT-DNAを付与したものを試験管内で改変した後に大腸菌を用いて増幅させる。その後、A. tumefaciensへ導入して、A. tumefaciens内でvir helper Ti plasmidと共存させて植物に人工のT-DNAを導入させている。この小型のシャトルベクターは、大腸菌の複製開始点と広範囲のグラム陰性菌の間で複製可能な複製開始点が存在する広宿主域ベクターであり、また、植物の形質転換の選択に用いられる選択マーカー遺伝子(人工のT-DNA部分内に存在)以外にも、大腸菌とA. tumefaciensの形質転換体の選択に用いられる選択マーカー遺伝子を別に保持している。
A. tumefaciensの本来の宿主は双子葉植物であるが、vir領域の転写のインデューサー(inducer)であるアセトシリンゴン(acetosyringone)やvir領域の転写活性が恒常的に高いhypervirulent helper Ti plasmidの開発により、イネなどの単子葉植物などへの応用が可能となってきている。
アグロバクテリウム法は、パーティクルガン法に比べ高価な機材は必要なく、また、ランニングコストも低い。T-DNAは植物の核ゲノムに1~2コピー程度の低コピー数で導入されることが多い。一方、アグロバクテリウムの感染後にアグロバクテリウムを除去するなどの煩雑な操作が必要であり、アグロバクテリウムの感染効率も材料の種類や状態によって様々である。
選択系
多数の細胞を材料として、それらに遺伝子導入を試みても、それらの中から極少数の形質転換体しか得られないことが多い。そのため、形質転換体のみを特異的に選択する選択マーカー遺伝子を目的遺伝子以外に同時に導入する必要がある。選択マーカー遺伝子の性質としては、形質転換細胞のみが生存・増殖できるポジティブ選択可能であり、更に形質転換細胞と非形質転換細胞とが混在しあったキメラを形成しにくいことが望ましい。多くの場合、アミノグルコシド系抗生物質のカナマイシン(kanamycin)やG418やハイグロマイシンB(hygromycin B)などの耐性遺伝子が遺伝子組換え作物にも用いられてきたが、現在では後述の新しい選択マーカー遺伝子やマーカー除去の技術が用いられるようになった。
複製系
導入された遺伝子が植物細胞の細胞分裂にあわせて複製されなくては、一過性の遺伝子発現(transient gene expression)となって、安定した形質転換植物を得ることができない。そこで外来遺伝子の複製系が必要となる。現在、植物の場合は外来遺伝子が植物の核ゲノムに挿入されて、核ゲノムの複製にあわせて一緒に複製される様にすることが主流である。また、プラスチドのDNAと外来遺伝子を相同組換えによって導入する系も存在する。
分化・再生系
外来遺伝子が導入された単一の形質転換細胞より植物個体を分化・再生する系である。多くの場合、オーキシンやサイトカイニンなどの植物ホルモンの濃度比を変えることによって植物個体を再生させている。しかし、材料の状態や培養開始からの時間や材料の成熟度などによって大きく変化する。多くの場合、カルスを経てカルスからシュートが分化してくる。そのシュートを発根培地に植え継いでから馴化して鉢上げする。なお、シロイヌナズナ(アラビドプシス: Arabidopsis thaliana)などにおいては、未熟な花蕾をアグロバクテリウム溶液につけるfloral dip法や、花蕾にアグロバクテリウム溶液を噴霧したりするfloral spray法においては、それらの処理後に種子を得て、それらの中から形質転換体を選択する。つまり、種子を発芽させて選択するだけなので再生系は必要とされない。
その他、カルスなどの未分化な状態での形質転換植物を培養することが目的の場合には、分化・再生系は必要とされない。